ファイナンス理論と不動産鑑定評価基準

H18年地価公示の状況について

(鼎談)土壌汚染に係る土地評価と土地利用のあり方
 
ケイ・アイ不動産鑑定鰍フ土壌汚染コメント
   
出版物紹介「土壌汚染−その総合的対策」
   
 
  新着情報
   
 
ファイナンス理論と不動産鑑定評価基準
 
 

  不動産鑑定評価理論は需給均衡理論を中心とするミクロ経済学に法律学、会計学等の多種多様な学問を集大成したものから構成されている。
 しかしながらここ10年の社会構造の変化、とりわけ急速に進展した不動産の証券化においては現行基準の評価手法は追いついていないのが実情である。
 本稿ではファイナンス理論の立脚し金融資産の代替投資対象としての位置づけにある実物不動産の価格評価の見地から現行基準の問題点を抽出し、それに対してどのような改定の方向性が妥当かを検討した。
 具体的にはまず、資産価格に対して現行基準とファイナンス理論とのアプローチの相違を明らかにし、次に価格概念、リスク概念の違いについて整理した。
  更に現実的に資産評価に適用する評価手法について批判的に検討するとともに、都市経済学の視点も織り込む必要性を明らかにした。
 最後に基準改定に関連して情報インフラ整備の必要性とその具体的なあり方について検討した。
 ただし、本稿はあくまで現段階での到達状況を示すものに過ぎず、ファイナンス理論と不動産鑑定評価基準との融合にはまだまだ理論的な実証分析が必要であり、改訂の方向性についての参考程度のものである。

   
  >> ファイナンス理論と不動産鑑定評価基準
   
 
H18年地価公示の状況について
   
  >> 地価公示データを長期的に分析した地価の長期的時系列表
   
 
(鼎談)土壌汚染に係る土地評価と土地利用のあり方
   
  >> 鼎談みんと
   
 
出版物紹介「土壌汚染−その総合的対策」
 
 

  国土交通省では不動産鑑定評価基準の改定を行いました、この6月ないしは7月には改定基準が公表される予定です。改定基準は平成15年地価公示の評価から反映されることとなり、これに基づき鑑定評価を行うこととなりました。

  もっとも、改定内容のうち、価格概念の整理の部分はこれまでにおいても参考価格として取り扱っていたところで、収益還元法(とりわけDCF法)の重視は対象不動産の性格や鑑定評価の目的に応じてすでに実践されてきたところです。

  今回の基準改定項目のうち、これまでどちらかというと避けて通ってきた部分が、『土壌汚染』についての価格形成要因の判断とこれによる価格への影響評価でした。

  不動産鑑定士は、土地の『地表面』と『空中』をみることは訓練されてきており、たとえば地表面については起伏や高低差、地上面については植裁や軒先の越境、空中については容積率の消化状況や高圧線下地の範囲等の判定等と地表面から上については日常的に神経を使っております。

  しかしながら『地中』の状況に関しては地盤、地質以外の土壌については農用地は別として、ほとんど考慮することがなかったというのが実情です。有害物質が地表面に露出しているという状況であれば誰でもわかることでしょうが、ほとんどの場合には地中に埋まっており、地表面は舗装材で被覆されているわけですからわかりようがありません。そこで、過去の土地利用履歴を調査して可能性の程度を判定し、可能性が高ければ分析調査(いわゆるフェーズ2)を行い、その結果を浄化費用や利用阻害並びにいわゆるStigmaとして鑑定評価に反映させていくこととなるわけです。

  従来の土地取引や鑑定評価では土壌汚染による影響が必ずしも十分に考慮されてきたとは言い切れず、汚染の可能性のある土地については価格水準の下方修正が行われることが予測されます。実際に取引価格に影響が出てくるのは先のことであるとしても不動産価格は将来の危険性があればそれを予測を織り込んで動く性格があるため、不動産鑑定士が鑑定評価を行う場合にはまずは可能性の有無を調査する必要があるでしょう。

  その結果、『化学工場の跡地などは今より安くなり、都市再生などで利便性が向上するとみられ都市中心部の商業ビルなどは高くなる』ということが予測されるわけです。

記事詳細はこちらを参照してください。キーワードは『土壌汚染』です。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/

  なお、記事見出しは不動産の『質』が厳格に問われるということになっていますが、これは同時に『不動産鑑定の質』が厳格に問われるという意味でもあると自戒したいものです